ピロリ菌検査とはピロリ菌は、正式名称をヘリコバクター・ピロリと言います。
感染すると、慢性的な胃炎が起きやすくなって、胃・十二指腸潰瘍をはじめ、慢性胃炎から萎縮性胃炎、やがて胃がんを引き起こすと言われており、胃がん患者様の約98%の方がピロリ菌感染者であるというデータもあります。そのため、ピロリ菌の感染が確認されたら、いち早く除菌治療を行うようにしてください。
ピロリ菌検査について
ピロリ菌感染の有無を判定する検査方法としては、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を使用する方法と内視鏡を使用しないで判定する方法の2パターンがあるわけですが、それぞれの方法というのは、以下の通りです。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)によるピロリ菌検査
胃カメラを使用する検査は主に3種類あります。この場合、いずれの方法にしても内視鏡で胃粘膜の組織を一部採取してからの検査となります。
- 培養法
- 採取した一部組織から、ピロリ菌を分離培養し、同菌が増えるかどうかで判定します。
- 迅速ウレアーゼ試験
- ピロリ菌によって作られるアンモニアの有無を調べる検査になります。
- 組織鏡検法
- 顕微鏡を用いて、採取した組織の中にピロリ菌がいるかどうかを確認します。
内視鏡を使用しない検査
内視鏡を使用しないピロリ菌検査も主に3つあります。その方法とは次の通りです。
- 尿素呼気試験法
- 検査をする方の呼気(吐いた息)を集め、その中に含まれる二酸化炭素の量を調べる検査です(ピロリ菌は胃内の尿素を自らのウレアーゼ(酵素)で分解する際に二酸化炭素が出るため)。
- 抗体測定法
- 検査をする方の血液や尿を採取し、ピロリ菌に対する抗体の有無があるかどうかを調べる検査になります。
- 抗原測定法
- 検査をする方の糞便を採取し、ピロリ菌の抗原の有無を調べる検査です。
除菌治療について
上記の検査を行った結果、ピロリ菌に感染していると判定された方につきましては、速やかに除菌治療を行います。治療とは薬物療法になります。この場合、朝夕1日2回の1週間限定ですが、胃酸を抑制する働きがあるプロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質を服用していきます。これを一次除菌と言います。投与が終了してから1ヵ月後に除菌の有無を検査し、除菌されなかった場合(陽性判定)は少し時間をおいてから二次除菌を行います。
二次除菌も朝夕1日2回の1週間限定の投与となりますが、服用する薬の種類を代えるようにします。そして投与期間が終了してから1ヵ月後に除菌の有無を判定する検査をします。成功率につきましては、一次除菌で80~90%、二次除菌で90%程度と言われています。
また、除菌薬を服用する際の副作用として、下痢や便が軟らかい、味覚異常、肝機能の数値が上昇するということがあります。気になる場合は、医師や薬剤師にご相談ください。このほか、除菌治療終了後に逆流性食道炎の症状を訴える方もいます。ただ、この場合は一時的なことが多く、治療が必要となるケースは少ないと言われています。